- 2019年10月8日
【成功事例】資金がなくても起業はできる?アイデア一つで球団をガラリと変えた広島カープ
日本シリーズでは敗れるものの、25年ぶりにセリーグ優勝を果たした広島カープ。その陰にはやはり球団側の努力もあったことを知らなければなりません。
その努力とは、「逆に振り切ってみる」ということ。
毎年Bクラスである原因は、資金力不足も一つの要因でした。
市民球団である広島カープは、巨人や阪神など人気球団、親会社が大きいソフトバンクのように、資金力で戦力をカバーできるはずもありません。
「選手は育ててなんぼ」
しかし、ドラフトで入団した選手が実力をつけ、客を呼べる選手になっても、資金力不足で他球団へ移籍させなければ、球団経営を維持することはできません。
マーリンズ・イチロー選手や2刀流大谷翔平選手のようなスターを育てても、高学年棒がネックで、他球団へ移籍させなければならないのです。
また、観客数動員数も、ダントツで最下位。地味で泥臭いというイメージが先行してしまい人気も低い広島カープ。
球場はいつも空席が目立ってました・・・・。
(交通の便も悪いことも理由です)
観客数を増やし資金力をあげるためにも、硬派なイメージを変える必要があったのです。
その広島カープが資金力不足からどうやって抜け出し、有名選手を引き戻し、25年ぶりのセリーグ制覇を成し遂げたのか?
この記事で検証していきたいと思います。
目次リスト
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資金力不足がチームの成績に直接影響する
「うちの選手は、ほとんど生え抜き」
これは確かに「市民球団」にとっては、とても魅力です。
ドラフト会議で入団した選手が、2軍から出発して1軍の試合に出ているのを見て、「あの時に入団した選手か!頑張れよ!」と、ついつい応援したくなるもの。
しかしながら、「生え抜きしかいない」という事実は、言い変えると「補強できない」のです。補強できないことは、すなわちチームの弱点をすぐに埋められないこと。
じっくり育てて活躍させるしかないのです。
ドラフト会議で入団した選手を2軍でしっかり育てて、1軍に送り日本一を目指す。そして、チームが強ければ、球場にもファンは足を運んでくれるようになります。
観客動員数が上がれば、資金力は増えます。プロ野球だからこそ、強いチームを目指さなければならない理由はここにもあるのです。
プロ野球されどビジネス
「強いチームを目指さなければいけない。
だからこそ、選手も育てなければならない。」
才能のある選手を発掘するスカウトの仕事もあります。
スカウトは、ドラフトが始まるまで才能のある選手を、高校1年生の頃や、大学1年生の頃から追いかけています。
「プロとアマチュアは会話していけない」というルールがあるので、スカウトはその選手の練習を何年もかけてじっくりと足を運んでいるのです。
そしてドラフト会議を経て、プロ野球の世界へ!しかし、育てた選手は年棒がネックで他球団へ移籍してしまいます。
客を呼べる選手が他球団へ移籍する
高額年棒をネックに、実力のある選手が他球団へ移籍していきました。
2016年シーズンに主に4番として座り、セリーグMVPを受賞した新井貴浩選手。
新井選手は、1999年から広島カープに入団し、2005年にホームラン王を獲得し活躍。2007年〜2014年までの7年間は阪神タイガースに在籍していました。
現在、その阪神の監督を勤めている金本監督。
金本監督も、広島カープに在籍し、阪神に移籍。
当時の監督、星野監督の猛烈オファー阪神入団を決めました。
そして金本監督とクリーンナップを組んでいた江藤選手(現在巨人打撃コーチ)も、広島カープから巨人に移籍しました。
ざっと見るだけでも、資金力不足によって、活躍した選手は他球団へ移籍するという現実を突きつけられるのです。
資金難はこうやって打破した
こういった経緯から、資金難により、なかなか「強いチーム」になることはできません。球団は強いチームを作るために、まずは「ファンを球場に呼ぶ」ために、ある戦略を立てたのです。
それは、イメージ戦略。
これまでの広島カープのイメージは、泥臭くて地味というものでした。ファンの方も、年齢層が高く、男性ファンがほとんどでした。
「イメージをガラリと変える」
つまり、
「ターゲットを変える」
というもの。
資金難はカープ女子が救う!?
「男性ファンだけでなく、女性ファンにも気軽に球場に足を運んでもらいたい」
これをきっかけに、女性ファンを増やすために、カープ女子を募集したのです。カープ女子の採用により、広島カープのイメージ戦略として成功し、観客動員数が右上がり。
「泥臭くて地味」という硬派なイメージが先行してましたが、カープ女子によってそのイメージがなくなり、女性ファンが爆発的に増えました。
前年は約139万人(2008年)だった観客動員数も、187万人(2009年)にまで上がりました。
それだけでなく、東京ドームや甲子園球場など、他球団の球場にもスタンドを真っ赤に染める割合は増えていったのです。その約4割が女性。
昔では考えられないような出来事です!
観客動員数以外でも、グッズ販売の売り上げもカープ女子が出る前と比べ、約10倍にも上がったのです。
資金難でもバリバリのメジャーリーガーが復帰!
ヤンキースからカープに帰ってきた黒田博樹選手。2016年で引退しましたが、年棒約20億円ものメジャー契約を蹴ってまで復帰しました。
「引退するときは広島で」
しかし、黒田選手がドジャース・ヤンキースで活躍していた頃のカープは資金難。バリバリのメジャーリーガーと契約するには、とても苦しい状況でした。
しかし、資金力も増え、チーム戦力も整いだしてきた2015年から、ニューヨークヤンキースから広島カープに移籍。
アメリカで通用しなくなったからではなく、バリバリのメジャーリーガーのまま戻ってきたのです。
また、侍ジャパン菊池涼介選手や、
同じく侍ジャパン「神ってる鈴木」こと鈴木誠也選手。
さらにエース野村選手や、活躍できる外国人選手も補強することができました。
資金難でも2016年セリーグ制覇!
生え抜きの選手も育ち活躍し、WBC組や黒田選手や新井選手なども活躍し、2016年にセリーグ優勝しました。
プロ野球されどビジネス。
有名球団のように、「お客さんを増やすにはチームを強くすればいい」という戦略が取れません。
しかし、資金難だからこそ、活かせる知恵も増えるのです。発想を転換させることで、違った角度からファン獲得することができるのです。
「ターゲットを変える」だけでも、戦略を大きく変えられるだけでなく、「ターゲットを変える」と言っても、逆に振り切ってみることも時には必要。
広島カープのように、硬派なイメージではなく、女性ファンにフォーカスさせると、球団のイメージはガラリと変わり、観客動員数も増え、資金も増えたのです。
僕がコンサルティングでお伝えしている、現状を打破するには逆に振り切ってみるを、広島カープの優勝という切り口からお伝えしました。