人は何を買うのか?ベネフィットの正しい使い方について。

人は何を買うのか?ベネフィットの正しい使い方について。

ナカタケこと中野丈矢です。



マーケティングについて学べば学ぶほど、どこかドライな感じがするのは気のせいでしょうか?



マーケティングを敬遠する理由の一つに、

  • アクセス解析
  • データ分析
  • ベネフィット
  • ペルソナ

といった言葉が、小難しく感じるからではないでしょうか。



ですが、『マーケティングは人間学』です。





「アクセス解析」は、記事の読者が「役に立った!」「元気付けられた!」という感情の揺さぶりを数字にしたもの。



「データ分析」は、顧客導線や顧客の購買決定をデータにまとめて、見込み客や顧客の感情の揺さぶりを数字にしたものです。

 



つまり、人の温かみや温もりが商品・サービスから感じるからこそ、顧客に「また来たい」「買って良かった!」「あの人に会えて良かった」と感じてくれるのです。



だからこそ、マーケティングを机上の空論ではなく、人の感情や行動、思考パターンを理解する上でベネフィットを学んでいけば、正しい使い方ができるのです。





マーケティングが上手くいってるビジネスほど、マーケティングっぽくないのです。

この理由についても明らかにしていきますね。

この記事では、マーケティングを上手く使いこなすため、「ベネフィットの正しい使い方」についてレクチャーしています。



その中でも、

  • ベネフィットの意味
  • 顧客がベネフィットと感じる時
  • ベネフィットの正しい使い方
  • ベネフィットへの誤解と間違った使い方
  • 最高のベネフィット

について書いています。


ベネフィットの意味を確認しよう



正しいベネフィットの使い方をするために、ベネフィットの意味を正しく理解していきましょう。



また、ベネフィットは色々な要素から構成されています。



大きく2つに分けると、

  • 機能的価値
  • 情緒的価値(心理的価値・人間的価値)

とで分かれています。





さらに、マーケティングを学べば、『ベネフィットとは利益』と出てきますが、これは本当でしょうか? この項目で、ベネフィットの意味を理解していきましょう。

ベネフィットの意味は「利益」ではない!?

「ベネフィットは利益」と解説する人も少なくはありません。



ですが、利益を与えることが顧客に喜んで頂き、顧客が顧客を呼んでくれる・・・そう捉える人も少なくはありません。



ベネフィットの意味を理解するため、まずはシンプルな事例から参りましょう。



例えば、パーティーが近いこともあって、パーティー用の靴を探してたとします。



その靴が3万円で売られており、この靴をあなたが大好きな芸能人がデザインした靴だと知りました。「3万円なんて安い!5万円でも買う!」といった勢いで3万円でその靴を買いました。



5万円でも買うところを、3万円で購入できたことになります。それも大好きな芸能人が手掛けた製品です。





ここで言う『最大のベネフィット』とは、「大好きな芸能人がデザインした靴」となります。つまり、顧客が心を揺さぶられた度合いとも表現できます。



これはベネフィットの意味は『顧客の心情』も含まれています。



だからこそ、数字には表しにくい部分もあるためマーケティングをデータ分析に偏った見方をしていると、「ベネフィットは利益だ」と理解してしまうのです



ですが、顧客視点でベネフィットを理解すると、『ベネフィットとは心の揺さぶり』とも言えますね。そして、心の揺さぶりは創造できるのです。







顧客が「ベネフィット」を感じる時



つまり、顧客がベネフィットを感じるのは「利益だ!」と感じるよりも、「心の揺さぶり」が起きた時。



「心が揺さぶられる」わけですから、スペック・品質・安全性・耐久性といった機能的価値の他に、情緒的価値(心理的価値・人間的価値)にも顧客はベネフィットを感じるわけです。(記事:情緒的価値とは?)



先に出した靴の事例でも、情緒的価値を感じたからこそ、即決で購買決定したわけです。「雨に濡れても平気!耐久性バツグン!」な機能的価値だけでは「心の揺さぶり」は起きません。



製品を通じて元気付けられ、製品のコンセプトに共感することで、心の揺さぶりが起きます。意味ある製品に人は購買決定するのです。つまり商品・サービスに意味を与えることでベネフィットを感じるわけです。



商品・サービスに意味を与えることを『価値創造』と呼びます。

価値創造することで、顧客はベネフィットを感じます。

 ↓価値創造についての詳細記事はこちら↓

ベネフィットの誤解



ベネフィットの意味について少し理解が進んだところで、ベネフィットにまつわる誤解について解説していきます。



ベネフィットには機能的価値も必要ですが、情緒的価値(心理的・人間的価値)の方が購買決定には優位に働くことを述べました。



しかしながら、いざマーケティングにおいてベネフィットを使おうとすれど、せっかくの訴求ポイントが伝わらないこともしばしば。



どうして伝わらないのか?



その理由にいくつかありますが、ここでは「良い物を安く売るのは時代遅れ」と言う事例を見ていきましょう。

良い物を安く売るのは時代遅れ!?



高度経済成長期を支えたのは、僕たち日本人に根ざしてる「良い物を安く精神」です。



かつての日本企業の技術は、高いスペックや品質、耐久性こそがベネフィットでした。そこに「価格の安さ」も価値に加えることでブルーオーシャンを生み出してきました。





ですが、技術の高さはすぐに真似されます。ブルーオーシャンだった海も少しづつ赤く染まり、いつしかレッドオーシャンになります。



「高い技術」+「価格の安さ」こそがベネフィットだったので、他の企業に真似されると競合に埋もれてしまいベネフィットではなくなるのです。



技術・スキルの高さはベネフィットではない



これは薄型テレビを事例にすれば分かりやすく、「机上にもテレビ」という意味を与えることでブルーオーシャンが生まれました。



テレビの厚さを極限まで薄くすることで、広いリビングにしかテレビは置けない時代からどこにでもテレビを置ける時代にシフトできたのです。



しかし、「机上や壁にテレビ」という意味を与えることで、ベネフィットを与えるづけるのも時間は長くはありませんでした。



すぐに競合が薄型テレビに参入していったのです。家電製品店でテレビを見ると、どの製品も薄型テレビです。薄型テレビはスタンダードになったのです。



さらに厚さを薄くしようとしても、莫大な研究費が必要です。仮にもっと薄いテレビが市場に出回ったとしても、新しい意味(価値創造)を与える必要があります。



ですが、さらに薄いテレビに新しい意味を与えることができるのでしょうか?



これには疑問ですね。

技術・スキルの高さはベネフィットにとっては縁の下の力持ち!?

では、技術やスキルの高さがベネフィットではないなら、別に何がベネフィットになるのか?



そんな疑問が浮かんでしまいますよね。





結論から言いますと、

技術やスキルの高さ(機能的価値)は『ベネフィット』を支えるには必要な『縁の下の力持ち』です。



先に例に出した大好きな芸能人がデザインした靴も、技術が高くなければすぐに弱くなって長持ちしません。



また、技術・スキルが高くないとベネフィットは生み出せない代名詞、整体師もそれなりの腕がなければなりません。与える意味さえペルソナに響けば、ベネフィットの使い方はいくらでも出てきます。



例えば、孫が可愛くて仕方のない高齢者をペルソナと仮定した時、「健康で長生きするために散歩できる身体づくり」と意味を与えるよりも、「ヒザの治療でいつでもカワイイ孫に会いに行ける身体づくり」と意味を与えれば価値創造できます。



ホームページにアクセスを流したり、チラシを配るなど認知を広めていけばベネフィットの使い方としては間違ってはいないでしょう。



ベネフィットの使い方も時代と共に変わる

ベネフィットの使い方を理解する上で、時代の変化についても見ていきましょう。



スマホ一台あればいくらでも情報は出てきますね。その一方で、自分に相応しい情報がどれなのか分かりにくいデメリットも出てきました。



テレビや雑誌などの一方向からの情報よりも、検索することで欲しい情報を得ようとする人が増えていて『検索欲求』が高まっているのです。なぜならば、情報を得ることが生活の質を上げるのです。



情報がたくさん溢れているので、情報リテラシーもユーザーに求められています。先の整体師の事例として「医者いらずの生活へ」と意味を与えることで、顧客に自立した生活へと促すことができるのです。顧客を自立へ促すことで、ベネフィットを上手く使いこなす成功事例もたくさんあります。



医者に頼らずとも自立すべく、自分の身体と向き合う人が増えているのです。食事や睡眠はもちろん、自分の考え方や心の持ち方と向き合うことで、自己成長・自己実現へと進んで行けるのです。









ベネフィットの正しい使い方とは?



ベネフィットの理解と間違った使い方について解説してきました。



顧客にとってのベネフィットとは、スペックや耐久性、安全性といった機能的価値よりも、主観的な意味が多く含まれているのです。



「顧客にとってのベネフィット」も結局のところは、「好きかどうか」だと言っても過言ではないでしょう。



この項目では、ベネフィットの意味について理解が深まったところで、ベネフィットの正しい使い方について見ていきましょう。

それは心に残る価値なのか?



商品・サービスに新しい意味を与えることで、顧客に感動・共感を呼び起こすことができます。



「これは絶対に欲しい」「なくてはならない」と感じてもらえれば、購買決定につながります。まさに、ベネフィットの正しい使い方ですね。





このプロセスの代表例として、『マスターカード』を挙げたいと思います。

マスターカードは、『お金で買えない価値がある』という意味を顧客に与えていますね。



里帰り編のCMでは、帰省途中でおじいちゃんとおばあちゃんへのプレゼントをマスターカードで支払うシーンがあります。お金で買えない価値とは、孫がおじいちゃんに挨拶をするシーンです。



なかなか会えない孫との思い出づくりこそ、『お金で買えない価値』ですね。

また来たいと思える場所なのか?



ベネフィットの正しい使い方として、「また来たい場所」なのかどうか。



もしも、顧客に「また来たい」と感じてもらえるならば、ベネフィットの使い方として正しいと言えるでしょう。



ディズニーランドがこれの代表例でしょう。



ベネフィットは『心の揺さぶり』で生まれます。



価格がつけられない一生モノの体験や、思い出づくりにお金を払うのです。



先に「機能的価値はベネフィットの縁の下の力持ちである」と述べましたが、一生モノの体験や、思い出づくりを顧客にしてもらうには、安心・安全な品質を提供する上でとても大切な要素とも言えますね。





ジェットコースターも安心・安全でなければ、夢の国が崩壊します。パレード中も車のエンジンが止まれば、ムードも鎮まり返って、せっかくの夢から覚めてしまうでしょう。



機能的価値は必要です。

ですが、「また来たい」と感じてもらうには、『夢の国』という意味を与え続ける必要があるのです。

まとめ(マーケティングと言えども人間学)

ベネフィットの意味とその使い方について解説してきました。



結局のところ、マーケティングはサイエンスの要素を持っています。「データ分析」「アクセス解析」によって顧客の動向を観察できます。





しかし、『マーケティングと言えども人間学』とも言えるでしょう。





人間学という変化する人間の心情(アート)を理解しておく必要があるため、データ化された数字だけでは判断しづらい部分も出てきます。



サイエンスとアートを融合することで、ベネフィットの意味を理解し、正しい使い方ができると言えます。



また、サイエンスとは客観的視点、アートは主観的視点を与えてくれるため、どちらか片方だけはマーケティングは成立するはずもありませんね。リーダーとして活躍するには、周りの人の心情を汲み取る役割を持っています。



アクセス解析やデータ分析だけでは、数字に込められた意味は分かりにくいものです。だからこそ、「マーケティングとはサイエンスだけれども人間学でもあり人間の心情を表したもの」と理解しておきましょう。

ライター紹介 Writer introduction

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