顧客はどこにいる?顧客価値を創造するプロセス

顧客はどこにいる?顧客価値を創造するプロセス

ナカタケこと中野丈矢です。



あなたの顧客はどこにいると思いますか?



もしも今、順調に顧客数を増やせてるなら、この問いは愚問でしょう。しかし、顧客がどこにいるのか分からない場合、今一度、この問いを考えてみましょう。



新しい顧客価値を創造すべく、「データ分析」「ノウハウ」に取り組まれる人も少なくはありませんし、必要なプロセスであるのは間違いありません。



現状打破するためには、もう一つ取り入れるべき要素があるのです。



その要素とは?





データ分析しても人間の行動を観察しなければ、顧客価値を創造できません。

また、ノウハウを判断基準にしても、人間を見なければ顧客価値を創造できません。





「データ分析」がサイエンスならば、「人間理解」はアートになります。

  • 顧客視点が欲しい
  • 顧客満足度を満たしてもリピートが少ない

という課題も、サイエンスに比重を置いているからで、人間の行動を理解するなど「アート」を取り入れる事で解決できます。





この記事では、顧客価値を創造するプロセスをレクチャーすると同時に、「スターバックス」「無印」「プリウス」がどのようなプロセスで顧客価値を創造していったのか・・・・



サイエンスとアートを融合し、あなたにもパラダイムシフトしてもらうべく、これからレクチャーしていきたいと思います。




顧客にとっての価値とは?



顧客価値を創造するためにも、顧客価値について理解しておく必要があります。 そこで、あなたの顧客が求めている価値を知るためにも、顧客にとって価値とは何か?



この問いについて考えてみましょう。



顧客価値についておさらい



マネジメントの発明者であるピーター・ドラッカーは、こう言い残しています。

『顧客にとっての価値は何か』は最も問うことの少ない問題である。答えは明らかだと思い込んでるからある。品質が価値だという。この答えはほとんど間違いである。顧客は製品を買ってはいない。欲求の充足を買っている。彼らにとっての価値を買っている。』



これは、どういう意味なのでしょう?



このエピソードとして、僕は数年間、同じ美容室で髪を切ってました。



そこで切ってもらう事へは何も違和感なく、そのお店のリピーターである事を選んでました。けれどもある日、「気分を変えてみよう」と思い、他の美容室で髪を切ってもらいました。



その帰りに偶然、通っていたお店の美容師とコンビニでバッタリ会ったのです。その人は嫌な顔を一切せず「素敵な仕上がりですね。また、いつでもいらして下さいね」と笑顔で立ち去ったのです。



品質が価値というのは、美容師としての技術です。技術を持つ美容師はごまんと居ますが、欲求の充足を満たせる美容師はどれくらいいるでしょう? 髪を切った清々しさよりも、お客さんとしてではなく人として見てくれる気持ちが嬉しく思いました。



そしてまた、そのお店のリピーターとなっています。 この欲求の充足は、人間の行動を観察しておかなければ分かるはずもありませんね。



購買決定に必要な”欲求の充足”とは?



欲求の充足について、もう少し見ていきましょう。



顧客の欲求を充足させるには、品質・スペック・耐久性といった機能的価値という客観性も必要です。 これをカメラで例えれば、「画素数が高く、バッテリーも長持ちして軽くて持ち運びに便利!」というわけです。



機能的価値は先で言うところのサイエンスです。

では、アートは?



購買決定に大事なのは、サービス・商品が呼び起こす感動・共感、そして顧客にもたらす心理的・社会的満足度になってきます。いわゆる情緒的価値の差で、購買決定かどうかがほぼ決まるのです。



情緒的価値とは、顧客に訴えかける感情的な価値のこと。 製品を所有したり、その人(販売者・ブランドなど)と繋がることで得られる感情的な価値です。



お気に入りのブランドを買う理由も、ブランドの世界観に感動・共感するからで、ブランド品を所有することで、自分らしくいられる実感が持てるのです。 誇りを思い出したり、自分の強みや才能だけでなく、明日へ突き進んでいくためにも、心理的・社会的満足度を満たしていけば人はパラダイムシフトします。



そのためにも、欲求の充足には、商品やサービスに新しい『意味』を与える必要があるのです。



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商品やサービスに「意味を与える」とは?



商品やサービスに「意味を与える」について考えて見ましょう。



「意味を与える」とは、顧客価値を創造することで、買う理由を与えること。 機能的価値ばかり訴求しても、買う理由がなければ顧客価値を創造することにはなりません。





これをハンバーガーに例えると分かりやすく、「安くて美味しい」という機能的価値を訴求しても、顧客価値を創造することにはなりません。 ハンバーガーを食べることに意味を与える事で、顧客価値を創造する事ができるのです。



『安全・清潔・世界中どの店舗も同じクオリティ・だからこそ信頼できる』という買う理由を与える事で、顧客価値の創造に繋がるのです。





また、教育ビジネス(セラピスト・コーチング・コンサルタント・講師業)は、

  • 専門性が高くて中身が分かりにくい
  • 似たサービスが多く自分の強みを作りにくい
  • どうしても高額になってしまう

という難しさがあります。





僕のようなコンサル型ビジネスをしてる人でも

  • 売上が上がる
  • 収益の自動化

という訴求ポイントを扱う人は多くいらっしゃいます。





ですが、売上が上がるだけではもはや顧客価値の創造には到達しづらく、収益の自動化もテレワークの普及によって、ビジネスのオンライン化が当たり前となりました。 これだと同じビジネスをする人が多くいらっしゃいますので、”買う理由”が”比べる理由”になってしまいますね。





僕は起業家・事業者へのコンサルティングでは、 「集客から卒業できる」「顧客フォロー・教育にエネルギーを注げる」という”買う理由”を与える事で顧客価値の創造に繋がっています。



顧客価値を創造するプロセス



顧客価値の創造とは、人間の行動を観察しながら顧客に買う理由を与えていく事でしたね。



買う理由を与える事で、顧客は購買意欲が湧いてきます。昔のように良い製品を安く売るだけが、購買意欲を高める時代ではなくなりました。



物が行き渡ってない時代ならば、良い製品を安く売ることで、大量生産・大量消費に繋がりました。ですが、今の時代に求められるのは「物による充足感」ではありません。



人間の欲求を充足させるために、顧客価値を創造していく必要があるのです。顧客価値を創造しなければ、「私の顧客はどこにいる?」と迷うばかり。



そこでこの項目では、実際に事例を通じて顧客価値を創造するプロセスを見ていきましょう。

3つとは、

  1. スターバックス
  2. トヨタ プリウス
  3. 無印良品

を事例に扱いながら、顧客価値を創造するプロセスについて理解を深めていきます。

コーヒー屋でもコーヒーを売らない!?



顧客価値を創造するプロセス、スターバックス編を見ていきましょう。



スターバックス(以下、スタバ)はご存知、珈琲業界を牛耳るメガブランドです。そのスタバがどのようなプロセスで、顧客価値を創造しているのでしょう?



スタバが顧客価値を創造すべく、新しく意味を与えたのは「珈琲店でも珈琲を売らない」という価値です。スタバに行くと、たくさんの人がコーヒーを飲んでますね。でも、確かにコーヒーは売ってます。



スタバの主力商品は、コーヒー屋なのにコーヒーじゃないところに顧客価値を創造するプロセスが潜んでるのです。では、スタバは何が主力商品なのでしょう?



スタバの主力商品は、居場所。空間とでも言いましょうか。

「コーヒーを買う場所」として、機能的価値を提供するのではなく、自宅、オフィスとは別の居場所を提供してるのです。



コーヒーの香りはもちろん、心地の良い居場所にすべくBGMにもこだわりを持ってます。それだけでなく、コーヒーを入れる水筒や、「マイ水筒持参でもOK!」のような他の競合にはできない居場所を提供してるのです。



つまり、快適なコーヒーライフをオールイン(All-in)させるような顧客価値を創造しているのがスタバなのです。



燃費の良さだけが車を買う理由にならない!?



次は、顧客価値を創造するプロセス、「トヨタ プリウス」を見ていきましょう。



プリウスは1997年に世界初の量産ハイブリッド乗用車としてリリースされました。それから約19年で累計世界販売台数が1000万台を突破しました。



その人気な理由も、1997年頃から環境問題が指摘された頃で、ECOが世界で推進されました。プリウスがリリースされたのも、ちょうどその頃でエコカーの代表として君臨しました。



ですが、エコカーだけでは機能的価値でしか、顧客に新しい意味(買う理由)を与えることができず、それだけでは顧客価値の創造ができません。そこでプリウスは、エコカーの意味を燃費がいい車から地球を救う車へとシフトチェンジしたのです。



その結果、ECOな時代に先駆けて地球を救う車として顧客価値を創造したのです。もしも、エコカーに新しい意味を与えなければ、他の車に埋もれていたでしょう。



ですが、「地球を救う車」という新しい意味を与えることで、顧客に「自分は地球を救っているんだ」という心理的・社会的満足度を得ているのです。



安くて良い商品だけでは売れなくなった!?



顧客価値を創造するプロセス、「無印良品」を見ていきましょう。



無印良品は日本よりも、海外シェアの方が高く世界約1000店舗あるうちの約半数が海外店舗です。

無印良品のコンセプトは、「感じのいい暮らし」。そのために服もすべてオーガニックでしかもシンプルなデザインに統一されています。



シンプルの中にも豊さと美しさを兼ね備えた、自然で、無名で、調和の取れた世界に共感・感動する顧客に対し、価値創造をしているのです。



無印良品ユーザーも、そのようなライフスタイルに共感する人が多く住む地域に店舗を出しているのです。

人間理解がビジネスにも役立つ

いかがだったでしょうか?パラダイムシフトできましたか?



顧客価値を創造することで、売れない商品・サービスから売れる商品・サービスになるだけでなく、ファン(エンドユーザー)を増やすことができます。



スタバもプリウスも無印良品もファン(エンドユーザー)が多いのが、顧客価値を創造する上での特徴です。



ここまで見てきたように、顧客価値を創造するプロセスによって、顧客の心に響くような言葉や、共感を生んでくれる意味、そして世界観を創造することが、ブランディングやマーケティングを凌駕するのです。



また、購買決定には、機能的価値(サイエンス)も大事ですが、商品・サービスが生む感動・共感、そして商品・サービスは顧客にもたらす心理的・社会的満足度が必要でした。つまり、人間理解がビジネスにも大いに役立つことをお伝えしました。

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